別冊インテリジェンス|ジュニアサッカー指導者

























成功に向かって‘チャレンジ‘したことが大事

セレクションではまず何がチェックされますか

DSCN0705.JPG「現場が大好き」
ひと言でセンスがあるかないか、です。確かに、サッカーに向く子と向かない子がいます
サッカーに向く子はセンスがあるということになるけれど、この場合、センスとは、まず「ボールセンス」があるかどうか、次に、「ゲームセンス」があるかどうか、ということになります。

では「ボールセンス」とは

「ボールセンス」とは、ボールを止める、運ぶ、蹴るといった一連の動作が、上手にきるかどうかが鍵となります。
また、両足でできるかどうかも。

そのうち、1つの技術だけが素晴らしいということでなくて、『技術のトータルバランス』が重要になります。

日本の選手の場合は、パスができるけどドリブルが苦手、蹴ることはできるけどトラップが苦手、というケースが結構多いのだけれど、そうではなくて、しっかりトータルでできるかどうかが重要。

「ゲームセンス」とは

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次に、「ゲームセンス」だけれど、これには2つあります。
1つは危ないシーンのケア・対処ができるかどうか。ピッチを見渡し、危ないシーンを予測し、早めにケアができる。もう一つは、勝つ方法を知っている・・・つまり、勝つためのチャンスメイクができるかどうか。つために何をしなきゃいけないかが分かる子。
この2つがある子は「ゲームセンス」がある、ということになりますね。

小学年代では体やスピードの差が成長期の差もあり、大きく出てしまう。
Jリーグをはじめとした強豪クラブは選択基準の大事な要素としているのですが、これは勝つという成果を残すためにはある意味仕方がないかもしれません。

逆に、体が小さくてそんなにスピードない選手は、Jクラブに合格するのは難しいかもしれないけれど、そこでサッカー人生が終わりではない。
その時点でむしろ大事なことは、合格しなかったとしても、「ボールセンス」と「ゲームセンス」があれば、将来十分に闘っていけるし、中学年代が終わる頃には、大きく逆転しているケースも多いのです。

スクールに期待するもの

最近は、教育の中でも’競争’を回避しようと言う風潮や流れが在りますが、ジュニアユースクラブのサッカーセレクションを素材として、’競争’とか、’選ばれるというメンタリティを鍛える’ということが大切なことだと考えており、その意味からコーチを引き受けました。

「合格という成功が決して目指すべき目的ではなくて、その成功に向けて‘チャレンジ‘したということを大事にする」ということを1人1人のサッカー選手に植えつけていければいいと考えています。
それが、このスクールに期待する事です。


小川章 OGAWA Akira

岩手県遠野市出身。
1979年 読売クラブ入団
1999年 ヴェルディJr、Jrユース監督就任、全国少年サッカー大会優勝
2000年 A級ライセンス
2003年 東京ヴェルディサッカースクール・スクールマスター普及・育成チーフコーチ
2006年 F.C.VALIE都留のヘッドコーチ就任
自他共に認める‘現場第一主義者’。30年にわかり、全国で小学生を対象としたサッカークリニックを行っている。高校サッカー等の解説も務める。
日本体育協会、日本サッカー協会公認A級コーチ。

interviewed by WASEDABOOK 取材協力ライブアシスト