別冊インテリジェンス|中谷綾子アレキサンダー




















レアルマドリッド初のアジア遠征に帯同取材。
担当記者たちに囲まれて(国立競技場)。


  • 序 EL FÚTBOL ES VIDA
  • Ⅰ 父のいる天国への約束―エクアドルから日本へ
  • Ⅱ ロべルトカルロス―サッカーを教えてくれた親友
  • Ⅲ 伝説をつくる英雄たち―一期一会
  • Ⅳ ダイヤモンドを掬って―2つの祖国





EL FÚTBOL ES VIDA

ほとんどのサッカー選手は、サッカーに明け暮れる幼児期を経て、いつの日か、プロのサッカー選手になることを夢見ます。

その間、何千もの子がふるいにかけられ、プロのサッカー選手になれるのは、ほんのわずかな、選ばれし戦士たちなのです。

それでも、夢という舞台は、決して華々しいものではなく、そこには、幾戦もの戦いが立ちはだかり、怪我や精神的疲労、さまざまな理由で挫折し、サッカー界を去って行く子は、少なくなくありません。

きっと、スターがあれだけ美しく輝くのは、凄まじい戦場を生きぬいてきたからではないでしょうか。
私には、彼らの汗や涙が、ダイヤモンドに見えます。

途方もないわがままだったり、性格ぶすの子がいても、ついつい許してしまうのは、そんな彼らを見てきたからです。

一方、フェルナンド・イエロをはじめ、ジダンラウールのような人格者とも言えるアスリートに出会うと、深い感動を覚えます。

私が、ロベルト・カルロスに頭が上がらないのは、初めて接したプロのサッカー選手だったからではなく、サッカーに関して何の知識もなかった私に、親切にしてくれただけでなく、友達になってくれたからです。

1998年にはじめて彼と出会ったとき、買い物のお手伝いをしたお礼にとトヨタカップのチケットくれました。彼は、当たり前のように、何枚欲しい?と言ってきました。(友人へ贈るチケットもリクエストしていいかしらと思いながら、なかなか)私が切り出せないのを察した上で、見知らぬ私の友人たちのことを気にかけてくれた、ファンを想うプロ魂は、本物としか言いようがありません。

今思うと、あのチケットが、私の人生の大きな分岐点でした。

彼らを取材し続けるのは、彼らから、職業へのリスペクトをはじめ、才能を磨くことの大切さ、思いやりや真心、生きる喜び、生きるパワー、生きる術……たくさんのギフトをいただいたからです。

サッカーがスポーツだからこそ分かりにくいのですが、サッカー界は、戦場そのものです。そして、サッカーと結びつく、私が立つこの業界もまた戦場のようなもの。

この業界に入って早12年、天国(夢)で見る地獄ほどに辛い事はありません。フリーランスとして、不安や恐怖を感じるのは、日常茶飯事のこととなりました。しかし、それ以上に、未来に挑戦しなくなる自分と出会うことの方が怖くなるのです。

EL FÚTBOL ES VIDA(サッカーとは、人生そのもの)
彼らが口癖のように使うこのフレーズが大好きです。

いつの間にか、最も多くかかわってきた選手たちが、レアルマドリッドに所属していただけの理由で、私は、レアルマドリッドの一ファンになってしまいました。

私は、世界中を魅了してやまないこのスポーツが大好きです。








中谷綾子アレキサンダー|Ayako Alexandra Nakaya

1973年、南米エクアドルに生まれる。
父の他界を機に16歳のときに、日本へ移り住む。
大学卒業後、商社勤務を経て、日本語、スペイン語、英語を駆使する通訳者、翻訳者として独立する。

現在では、特に、日本のスポーツメディアにおいて、スペイン語とポルトガル語圏のスポーツ選手や監督、審判員、クラブチームスタッフ等の通訳、取材コーディネーター、スポーツライターとして才能を開花させた。

通訳では、とくに「J.リーグ 」、「 欧州サッカーリーグ」、「南米サッカーリーグ」など、サッカー関連の依頼が多いが、陸上、ボクシング、格闘技など、スポーツ全般の取材交渉、リサーチ、表紙撮影を含めた特撮、現地スタッフのアテンド等も請け負う。

また、海外メディアのメディアコーディネータとしても、スペインのスポーツ紙“as”、ラジオ局“Cadena SER”、イギリスの“BBCラジオ(スペイン語放送)”など多数の取材企画に協力するなど、取材のトータルコーディネートとして活躍中である。

また、翻訳では、「 Sports Graphic NUMBER 」(文藝春秋)、 SPORTIVA 」(集英社)、「スポーツ報知」(報知新聞)、スポーツ紙誌外国人ジャーナリストの記事翻訳構成などを手掛けている。

著書に、以下がある。
『サッカーW杯 英雄たちの言葉』(集英社)
『ちいさくても大丈夫』(集英社)
ちなみに、『ちいさくても大丈夫』は、小学5年生の道徳の教科書に引用されている。

サッカーに関連した主な取材先に限り、ご紹介すると次のとおり。

取材媒体
「 Sports Graphic NUMBER 」(文藝春秋)
「 SPORTIVA 」(集英社)
「スポーツ報知」(報知新聞)
「 地球に好奇心 」「NHKスペシャル」(NHK)
「トヨタカップ特番」「FIFA CLUB WORLD CUP特番」(日テレ)
「 世界ウルルン滞在記 」「 世界ふしぎ発見! 」「世界遺産」「zone」「NEWS23」(TBS)
「さんまの天国と地獄」「すぽると」「ザ・ベストハウス123」(フジテレビ)
「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(テレビ東京)
取材選手
ミッチェル・サルガド
グティー
サンティアゴ
カルレス・プヨール
セサル・ルイス・メノッティー
ホセ・ペッケルマン
フェルナンド・レドンド
サムエル・エトー