サッカー翻訳|三浦久美子




















スペイン留学を機に翻訳通訳の世界へ
メッシとの出会いは有名選手になるずっと前
謙虚さが彼を世界のトップ選手に押し上げた
三浦久美子氏にサッカーの魅力について訊いた




サッカー関連の仕事をなさっていますね。
もともとサッカーに興味があったのですか。

スペインに留学していた頃から、周りのスペイン男子はサッカーに熱中していてよく 一緒にバルなどで試合を観戦していましたね。

マラガに住んでいましたが皆のお気に入りはレアルマドリードでした。なかには女性もいましたがカップルの男性 に同伴してきているといった感じでした。

もちろん地元チームも応援していましたけど。皆で集まって観戦するのは楽しかったですね。

ただもっとサッカーが身近 になったのはやはり2002年日韓ワールドカップでメキシコチームの通訳をするようになってからですね。

国際試合のために来日したサッカー選手の通訳をなさっています。

スペイン語で通訳しますが、スケジュール調整、練習会場、食事、移動、買い物などの要望も含め全てのコーディネートについての通訳となります。

中南米のスペイン語は国によって単語が異なったりするので注意が必要です。

試合以外のオフにも帯同されるとか。

息抜きとして買い物に行ったりしますがこの時は凡人ですよ、家族へのおみやげ を選んでいる顔は何処にでもいるお父さん男の子といった感じです。結構皆気軽に話しかけてきますよ。

試合の日 は余計な気を散らせないよう、必要ない限り選手には近づかないようにしていますがあくまで普段通りを心がけています。

メッシの通訳もされたとのこと。

バルセロナのユースチームがアンダー17(ユース)の友好試合で名古屋にきたとき、その中にメッシがいました。

まだ今ほど注目されていませんでしたが地元開催者の人たちは皆メッシの凄さを見抜いていて大会終了後はMVPに選ばれることが決まり、その時メッシはチーム宿泊ホテルにいたのでタクシーで一緒に試合会場に向かいました。

小さくてとてもソフトでおとなしい男の子という印象でした。移動バス内や食事、買い物など皆の中にいてもおとなしくて全く目立たない存在でしたね。

17歳以下のチームというと皆パワーが有り余っていて時には騒いだりお茶目 な事をしたりするものですが。遠慮気味というか、そういう謙虚な性格が彼をトップ選手に押し上げたのだと思います。だって応援してあげたいって思っちゃうでしょう。

日韓ワールドカップ時はメキシコチームに帯同されたとか。

日本の受け入れ施設との交渉が一番大変でした。

アルゼンチン女子オリンピック代表やトヨタカップで来日された南米サッカー連盟幹部の方々の通訳は、いかがでしたか。

アルゼンチンの女子は皆若くて可愛かったですよ、走るスポーツですから皆スマートで小さかったですね。

やはり国の代表に選ばれるわけですから性格や協調性などは重視されると思います。言う事を聞かない選手は連れてこないでしょう。監督やコーチ陣を含めとてもまとまっていました。

FIFA のレフリーの方々のアテンド通訳もなさったとか。

試合日にむけてのコンデイションのもっていき方はレフリーにより異なるので、それぞれの要望が叶うよう準備します。

レフリー達は常にいろいろな試合を見て勉強しているので こちらも名の知れた大会の結果や試合内容、ルールについて多少の知識があれば会話が弾みます。

またレフリーの仕事として試合前はマネージャーズミーティングに出席したり、試合後はレポートを提出したりといったこともあるので臨機応変にサポートできるようにします。

サッカー用語の訳出で、難しさはありますか。

スペインと中南米では用語が違う場合があります。

中南米のスペイン語は国や地域によって大分違います。
サッカーに精通している人がすんなり読める翻訳をするには専門用語の使い方を含め幅広い知識が必要です。

サッカーの翻訳で得られる刺激というものはありますか。

最新の情報もすぐネットで伝達されるので刺激というのはないですね。

サッカー以外にどのようなものを取り扱っていますか。

国際開発、観光、料理、社会情勢、歴史、風習、宗教、民族、地理、スポーツ全般といったところです。

そもそも翻訳者になろうとしたきっかけは。

言語や思考経路なが異なる両者間の意思疎通をはかる通訳という仕事にとてもやりがいを感じていました。

翻訳の品質を維持するために、どのような工夫や努力をしていますか。

様々な文章を読むようにしています。

翻訳のどのような点が面白いですか。

楽しいと感じることはありません。書き手の意思を正しく伝えるよう訳することだけに集中しています。

原文(西語)の美しい表現や感動的な言い回し、言葉遣いなどに触れたときは感心しますね。

今後、どのような通訳や翻訳を手がけてみたいですか。

日本に古くから伝わる伝統、習慣や行事を現代のライフスタイルに融合させた文化・暮らし方などを紹介できる通訳ガイドになりたいと考えています。







三浦久美子 みうらくみこ MIURA Kumiko

通訳者、翻訳者
埼玉県出身、スペイン アリカンテ大、マラガ大に留学
母国語;日本語、使用言語;スペイン語
専門分野;環境や農業、食の問題 他

interviewed by WASEDABOOK